江幡公認会計士税理士事務所

                                           

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2021年10月号 第050回 慶應義塾大学 友岡賛教授 特別記念「会計学者のメシのタネ」 - 千代田区 番町 麹町 半蔵門 会計士 税理士 江幡公認会計士税理士事務所

「濃い字シリーズ」
所長 江幡淳の直筆・経営コラム
2021年10月号

2021年10月号 第050回 慶應義塾大学 友岡賛教授 特別記念「会計学者のメシのタネ」

 

(ボクは江幡淳氏の慶應義塾における【恩師】です。この『濃い字シリーズ』が第50回の節目を迎えるに当たり、寄稿の依頼を受けました。江幡公認会計士税理士事務所の愈々の隆盛をもって祈り上げます。)

この7月に刊行されたボクの26冊目の本『会計学の行く末』(泉文堂)は前々著『会計学の考え方』(泉文堂)および前著『会計学の地平』(泉文堂)を承け、もって三部作を構成します。前々著の第1章「「会計学」の来し方」に始まり、『会計学の行く末』に至るこの三部作はこれに総タイトルを付すなら、定めし「会計学の来し方行く末」となるでしょうか。

気が付けば、会計学を生業とするようになってから随分と経ちますが、この間、何をしてきたのかと言えば、要するに、会計とは何か、を考えてきました。
【会計とは何か】、です。企業にあって会計実務に従事する諸氏、あるいは公認会計士や税理士の諸氏からすると、【そんなこと】は考えたこともないかもしれませんが、【そんなこと】を考えるのが【学者】の仕事です。

そうした仕事をしている会計学者の中には会計をめぐる昨今の状況を憂える者も少なくありません。
それは要するに、近い将来、会計は会計でなくなってしまう、といった憂いです。すなわち、利益の計算から企業価値の測定へ、割引現在価値の導入、あるいは財務報告の拡大ないし非財務情報の開示などといった昨今の動きについて、そうなった会計はもはや会計ではない、などともされています。

会計学者は、会計【学者】だから、「会計」を定義し、定義するからこそ、定義にそぐわないものを「会計に非ず」とし、定義にそぐわなくなったものを「もはや会計に非ず」などとしますが、しかし、それが会計かどうか、などといったことを問題にするのは会計学者だけであって、他の人々にとっては、行われているそれが会計かどうか、などといったことはどうでもよいことです。

さらにまた、様変わりしてしまった会計について、会計学者が「もはや会計に非ず」と言ってみても、それを会計に戻せるわけもなく、「もはや会計に非ず」と言うことによって、会計学者は対象(会計)を失い、すなわちメシのタネを失います。

「会計に非ず」などと言うのも会計学者だけなら、そういうことを言って困るのも会計学者だけ、ということです。

慶應義塾大学教授 友岡賛

※上記の【】の箇所については、オリジナル原稿では文字の上に「傍点」が付されておりますが、ここではシステム上傍点を付す事が出来ないため、【】書きで表記させて頂きました。

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