江幡公認会計士税理士事務所
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2022年03月号 第055回「Quality of Earnings」
M&A業界では多くの横文字専門用語が登場するが、中でも「Quality of Earnings」(以下「QoE」)という概念は、本来はもっと奥が深いはずだ。
QoEとは、財務諸表に表される表面的な「利益の量」を見ただけでは把握できない「利益の質」を表す概念である。
QoEは、例えば、財務諸表の利益の金額から一過性の損益を除いた金額として算出される。一過性の損益とはすなわち、特需による売上増、一回限りの取引先に対する多額の売上といった収益面の要因もあれば、多額の退職金の支払い、本社移転費用といった費用面の要因もある。
QoEとは、これらが無かりせば収益力の実力は如何ほどかという概念である。
この点、QoEも所詮は定量的概念であると言わざるを得ない。少なくとも、M&Aの現場で、限られた期間内で財務調査を行い一定の成果を報告する場合には、定量的分析の範疇を超えた分析は不可能であるし、求められてもいない。
しかし、QoE分析をしたからといって安心してはならない。
収益力とはそう単純なものではない。QoEを把握することにより、収益力に関して一定の理解は得られるが、さらなる深掘りが必要である。
深掘りをするには、もはや、「貨幣的価値では測定できない何か」という、値札を超えた概念にまで目を向けなければならない。
江幡 淳
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