2025年05月号　第093回「預金通帳だけで経営管理ができるのか？(04)」

　「」（鍵括弧）の意味をどれだけご存じだろうか。私はこれまで、強調や引用の意味で使用していた。
しかし、「実体がその言葉どおりであるかどうか疑問があるという意味」もあるようだ。
この場合、「カッコ付きの・・・・」（この「」は強調の意味）のように言われる。そういえば、世の中にはカッコ付きの言葉が多い様に思う。

さて、今回のテーマは「売掛金」である。売上はあるのに銭が無い事から派生する「黒字倒産」という言葉自体は多くの方が知っていると思う。
しかし、資金繰り改善のための具体的行動を執る方は多くはない。

売掛金は回収されれば良いという訳ではない。いつ回収されるかが重要である。売掛金の存在は預金通帳では表されないので別途管理する必要がある。

ゴッドファーザーの弁護士トムのように、得意先が１件であれば預金通帳だけでもイケるかもしれないが、長い目で見ればイケていないかもしれない。入金の有無だけを管理していても、売上高の網羅性と売掛金の回収状況までは把握できない。

資金繰りが厳しい場合、既存顧客に関しては困難が伴うかもしれないが、新規顧客に関しては、「当月分を（翌月末ではなく）当月末までに入金」にするなど、決済条件を見直すと良い。

江幡　淳