2023年12月号　第076回「枠組・型と時間」

社会には様々な「枠組」がある。
法令、ローカル・ルール、学校、会社、業界団体、各種親睦会など、枚挙に暇がない。
ここ日本で暮らしている以上、大半の人が何らかの複数の枠組に属している。

また、どのような分野においても、必ず「型」がある。
万人が創造活動をしなければならないとしたら社会は機能しない。
創造活動を行っている者においても、すべてをゼロから生み出すのではなく、先人の積み重ねてきた型を多かれ少なかれ利用していると思われる。

枠組・型の正当性の根拠は、「時間」である。
ただ単に時が経過したという事ではなく、属する人々の社会観や人生観が反映されながら存続してきたという時の流れが存在する事である。
決して反社会的ではなく、子供の頃の原風景から人生の終わりまでを引き受けてくれる枠組・型というものには、正当性があると考えてよいのではないだろうか。

一方、否定し難い観点から綺麗な事を主張する、最近出現した「枠組・型の様なもの」については、余程注意した方がよい。
仮にそれに「権威」が付着していたとしても、鵜呑みにすべきではない。

自分の人生なのだから、自分の頭で考え、自分なりの結論を出すべきである。
良い年をお迎えください。